【専門家が解説】ロカボ(低糖質)ダイエットや糖質オフは本当に効果あり?

ダイエット

ダイエットでは依然ブームになっている「糖質オフ」ダイエット。最近では「ロカボ(低糖質)」なんて言葉も出てきましたね。
確かに、糖質をカットしたり少なくすることで体重は落ちます。
しかし、長期で見て糖質オフやロカボのダイエットはオススメできません。なぜなら、これで落ちるのは体脂肪だけではなく筋肉量や場合によっては骨なども考えられ、その結果健康を害してしまうことが考えられるのです。
今日は糖質オフやロカボのデメリット、また正しい糖質のコントロールとダイエットについてお伝えします。

糖質オフのダイエットって?

糖質オフのダイエットとは、その名の通り食生活から糖質をオフまたはカットすることです。
糖質とはご飯・パン・麺類などの主食はもちろん、芋などの穀類、またお菓子やパンケーキに含まれる砂糖なども全てオフにするものです。
糖質オフは10年程前から流行り出しました。
始まりは糖尿病患者さんの治療の一環としてでした。
糖尿病を罹患された方は、体内で血糖値をコントロールすることが出来ません。
血糖値とは体内に糖が入った時に血液に入った濃度の数値で、これが高すぎると体に害を及ぼす為インシュリンというホルモンで下げます。
しかし糖尿病ではこのインシュリンが正しく分泌されない・もしくはそのインシュリンを受け取る側が正しく機能しません。
すると血糖値が高いままの為、最悪足の切断や腎機能低下による人工透析などに繋がってしまうのです。
そこで、体内に入る糖質を少なくする糖質制限の食事療法が取り入れられるようになりました。
これがダイエットにも効果があるとして、糖質オフとして一般にも広まったのです。
糖質は体内に入りすぎると体脂肪に変換されます。つまり糖質を取りすぎると太るのです。
そこでその糖質をオフにすれば体脂肪が増えないという考えに基づくのがこの糖質オフダイエットです。
最近ではビールなどのアルコール類でも糖質オフが謳われるようになり、スーパーなどでもとても目にするようになりましたね。

ロカボ(低糖質)のダイエットって?

糖質を完全にオフにする糖質オフの一方、糖質を多少摂る食事として流行しているのが「ロカボ」です。
ロカボとはローカーボ=低糖質という意味で、炭水化物の摂取量を制限する食事方法です。
糖質を摂らないのではなく、少量の糖質を摂って緩やかに血糖値をコントロールするという食事療法です。
一般的な食事では一食で摂取される糖質の量は50g〜70g程になりますが、ロカボではこれを20〜40gに制限します。
完全カットではない為血糖値は上がりますが、体脂肪になる程ではない為無理のないダイエット方法として積極的に取り入れられています。

糖質オフもロカボがオススメできない3つの理由

基本的に糖質オフやロカボはオススメできません。
その理由は3つです。
①低血糖症状を起こす危険がある
②慢性的な糖新生で筋肉が減っていく
③続けることが難しい

オススメできない理由①低血糖症状を起こす危険がある

低血糖症状とは、体内の血糖値が下がりすぎてしまい、命に関わるような症状が起こってしまうことです。
糖は私たちの体にとって切っても切れない必要な栄養素です。
その糖が慢性的に入ってこないと、低血糖症状を起こして命の危険にも繋がるのです。
前述した糖質オフとロカボの背景に、糖尿病患者さんの治療の一環として始まったと書きましたが、実は現在糖尿病学会はこの糖質オフとロカボは推奨できないと明言しているのです。

糖質オフもロカボも、糖尿病学会は推奨していない!

糖質オフもロカボも、元々は糖尿病の方の治療の一つとして広まったのではと考えられていましたが、2016年に明確に否定しています。
それにはある理由があるのです。
それが低血糖症状による危険性なのです。

無闇にやると低血糖症状を起こして危険!

糖尿病学会が推奨しない理由に、糖尿病の方に摂ってリスクと考えられることが挙げられます。
それが「低血糖症状」です。
糖尿病の方は、血糖値をコントロールすることが出来ません。
これは上がった血糖値を下げることが出来ないということなのですが、それだけではありません。
実は血糖値が下がりすぎることが、とても怖いのです。
私たちが毎日1日3食食事を摂るのはなぜでしょうか?エネルギーの源を摂ることはもちろんですが、体にとって最も大切な臓器は脳です。
脳が体の全ての司令を司り、考えたり動いたりすることが出来ています。
その脳のエネルギー源が、酸素と糖なのです。
この2つがなければ、脳はきちんと働くことが出来ず、生命にも関わります。
ここで糖尿病の話に戻りますが、糖尿病で怖いのは合併症ですが、命に関わり最も避けなければならないのが、低血糖症状です。
低血糖症状になると体内の糖が不足している状態で、脳にも糖が行きません。
それを防ぐ機能として「糖新生」があります。しかし、これにも限界がありますし、さらに糖尿病を持たれている方ではとてもその機能が追いつきません。
低血糖症状になると昏睡状態になり、急激に命に関わる状態になるのです。
現に糖尿病患者さんが低血糖症状を起こしたら、一刻も早く糖を体内に入れる必要があります。その為病院や介護施設にはブドウ糖が常備されています。
糖質を体内に入れない糖質オフや極端にコントロールするロカボでは、このようなことが起こるリスクが高い為、糖尿病学会は推奨していないのです。

糖尿病ではなくても低血糖症状になる!

この低血糖症状ですが、何も糖尿病に限ったことではありません。
糖質オフやロカボをしていると、誰でも低血糖症状に陥ってしまうのです。
糖質が体内に入らないと、糖新生という糖を体内で作る機能が働きます。
これは夜中にも起こっていることで、この糖新生によって寝ている間も血糖値はコントロールされています。
しかし、慢性的に食事で糖が入らないと、この糖新生だけではとても補い切れません。
すると次第にこの低血糖症状が出てきます。
頭がぼーっとする、物事が考えられなくなる。症状がひどくなると、冷や汗が出てくる、そして最終的に気を失ってしまいます。
近年糖質オフとロカボが流行っていますが、その裏側でこのような症状で病院に運ばれるというケースは多く報告されています。
低血糖症状は命に関わります。そのリスクを上げるような食生活を、体重を落とす・痩せる為だけにあなたは行いますか?

オススメできない理由②慢性的な糖新生で筋肉が減っていく

糖質オフとロカボを定期的に行なっていると、体内に必要な糖が入ってこない為糖新生という機能が起こります。
これは体内で新しく糖を作るという機能で、私たちが睡眠している間にも毎日起こっています。
夜は夕食から次の日の朝食まで12時間ほど食事が入ってこない為低血糖になります。
それを補う為に、体内で糖を作るのです。
「なんだ、体内で糖が作れるならわざわざ糖を摂らなくていいじゃん。太るし」
そう思われましたか?
確かに体内で糖を作ることはできます。しかし、これはあくまで緊急的な要素で、毎日の活動やエネルギーなどを補える程の糖は作れません。
そもそも、糖を新しく作る為には何か材料が必要ですよね。何だと思いますか?
それはダイエットで減らしたい体脂肪も含まれますが、それだけではなく筋肉や骨などの組織も含まれるのです。
糖質オフとロカボで体重が落ちる要因の1つに体脂肪が減少することが挙げられます。
糖質が入らないことで体脂肪が減少しているのですが、糖新生は体脂肪だけではなく、体内の筋肉や、場合によっては骨なども材料にして何とか糖を生み出そうとします。
糖は体にとっては欠かすことが出来ない必須の栄養素の為、優先順位は高く体を壊してでも作る必要があるのです。
つまり、糖質が慢性的に枯渇していると、体の筋肉や骨などがどんどん減ってしまうのです。
筋肉が減ると代謝が下がります。代謝の低い体では、長期的に見てとてもエネルギーを効率よく作ることは望めません。
すると、太りやすく痩せにくい体になってしまうのです。
糖質オフとロカボを始めた当初は体重が急激に落ちますが、必ずどこかで頭打ちになります。それがもう体内に材料がない状態なのです。
この時点で、体は既にボロボロ。
それでも糖質を入れないと…代謝が下がるだけではなく、どんどん体が壊れてしまうのは想像が出来ますね。

オススメできない理由③続けることが難しい

糖質オフとロカボは、糖質を極力体内に入れないようにします。
糖質は、ご飯・パン・麺類などの主食です。また、たまに食べたくなるデザートなどにも含まれています。
確かにこれらを食べ過ぎると体脂肪は増えてしまいます。
だからと言って、それを極端に減らす食生活を、あなたはこの先ずっと続けることが出来ますか?
糖質オフやロカボで減った体重は、あくまで糖質を極端に減らした方法の結果です。
その結果を得続ける為には、その習慣を続けなければなりません。
朝昼晩とサラダとおかずだけ、またはご飯はほんのちょこっと。デザートは一切カットです。
それをずっと続けることは、難しいですよね。
たまには、友達と週末にパーッと外食にも行きたいし、仕事がうまくいった時などはご褒美に大好きなデザートだって食べたいですよね。
彼氏とのデートで彼氏がせっかく選んでくれたパスタが美味しいお店で、あなたはパスタを食べないと言いますか?
大切な友達の結婚式で出されたウェディングケーキのシェアを、あなたは断りますか?
こちらの方が、ストレスが溜まりますよね。
糖質オフとロカボは爆発力こそありますが、継続性は困難なのです。

正しい糖質コントロールの方法3つ

ここまでで、糖質オフとロカボのやり過ぎが体にとって負担であるということがお伝えできたかと思います。
確かに現代人は糖質を摂り過ぎています。
ラーメンとチャーハンのセットや、ビールジョッキ5杯飲んだ締めにラーメン。
スイーツでも、ふわふわのホットケーキやタピオカドリンクなど次々にブームがありますね。
これらで糖質を過剰に摂取して、それが原因で体脂肪が増えている人が多いことは事実です。
しかし、だからと言ってオフなどは体にとって必要な栄養が入ってきません。
重要なのは、糖質をコントロールすることです。
そこで正しい糖質コントロールの方法を3つお伝えします。
①必要な糖質と不要な糖質を見極める
②糖質を1食50gの上限に設定する
③食事の間隔を空ける

①必要な糖質と不要な糖質を見極める

体にとって糖質は必須です。脳や細胞のエネルギーとして欠かせない栄養です。
しかし、一言に糖質と言っても、脳や細胞のエネルギーに直接行かず体脂肪になる糖質もあるのです。
よく糖質を言うと全てと思われますが、実は種類があるんです。
糖質はグルコース(ブドウ糖)・ガラクトース・フルクトースと言う3つの単糖類に分けられます。
単糖類とは体に糖を吸収する時に糖を最も小さくした状態です。(その前段階で、糖が複数くっついた二糖類や多糖類という形で私たちは食事から摂取しています)

必要な糖質は”ブドウ糖”

この3つの糖の中で体がエネルギーとして必要とする糖は”ブドウ糖”です。
ブドウ糖が、脳や細胞のエネルギー源となっています。
逆に、ガラクトースとフルクトースは直接エネルギーとはならない為、一度エネルギー源になる別のものに変換します。
それが”体脂肪”です。つまり、ガラクトースとフルクトースは、摂れば摂る程体脂肪が増えてしまうのです。
ガラクトースが多く含まれるのは、果物・菓子パン・ケーキ・まんじゅうなど砂糖などが含まれるものです。
フルクトースが多く含まれるのは、牛乳・ヨーグルトなどの乳製品です。
これらは太る糖の為ダイエットをする上では不要と考えられます。
そして、必要なブドウ糖が多く含まれるのは、米・芋・麺などの主食です。(パンもブドウ糖ですが、砂糖が入っているものが多い為注意が必要です)
何となくイメージはつきますよね。
つまり、食事の中でブドウ糖が含まれる主食はきちんと食べて、間食などでよく食べられるお菓子や果物、牛乳などを控えることがポイントです。
これが糖の見極めです。
もちろん、デザートなどは楽しむ為にたまに食べるのはオッケーです。
その時は、その後の食事の糖質を少なくしたり、ウォーキングなどで増えた分を燃焼するなどコントロールすれば問題ありません。

②糖質を1食50gの上限に設定する

ブドウ糖が必要でしっかり摂るというお話をしました。
では、必要な量ってどれくらいでしょうか?
これは数字ではっきりと見ることが出来て、人間の体で必要なブドウ糖量は1日150gとされています。
ブドウ糖150gは、食べ物で例えると軽くお茶碗に盛ったご飯3杯程度です。つまり毎食ご飯を食べるということです。
意外としっかり食べられますよね?
ラーメンやパスタなどになると1食100gの麺に含まれるブドウ糖は70g以上などやや多めになりますが、ブドウ糖は前述したようにエネルギー源です。
しっかり動く・仕事をする・運動するなどで使われますので、特に筋肉や脳を多く使った日であれば問題ありません。
この50gを超えて食べることが毎食になると余剰になってしまい、それは体脂肪となって貯金されてしまいます。
逆に50gを下回る量で続けば、エネルギー不足になってしまいます。(これがロカボが続いた状態です)
その為必要量である1食50g前後をきちんと摂るようにしましょう。この量であればエネルギーとして使われる為体脂肪になることはありません。
ブドウ糖の量はネットですぐに確認することが出来ますし、食品の裏には必ず表記されています。
カロリーを見られる方は多いと思いますが、その下をご覧ください。「糖類」などの名前で含有量が表記されています。
1食50gを目安に、体に必要なしっかりとブドウ糖を摂るようにしましょう。

③食事の間隔を空ける

食事の間隔もとても大切です。
糖質が体内に入ると、血糖値が上がります。血糖値が上がったままでは体にとって害になる為、インシュリンというホルモンが分泌されて血糖値を下げます。
このインシュリンが出過ぎると、体脂肪を溜め込んでしまうのです。
糖をたくさん摂るということは、このインシュリンも多く分泌されるということですので、量のコントロールが必要です。
それと同時に、タイミングもとても大切です。
例えば1食で必要な量である50gを摂ったとします。50gでもインシュリンは必ず分泌されます。
もちろん50gであれば、体脂肪を溜めるほどの量ではありませんが、インシュリンは時間差で分泌され、その後緩やかに血糖値を下げていきます。
それが1食で約4時間と言われています。
しかし、食事を摂って2時間後などにまた糖を入れると、どうなるでしょうか?
2時間後であれば、やっとインシュリンが出て頂点値に高かった血糖値が下がり始める頃です。
そこに糖が入ってくると、また血糖値が上がってしまうのです。
その為食事の間隔はしっかりと空ける必要があります。
目安としては、4時間は空けるようにしましょう。4時間経つと、前の食事で摂った糖による血糖値は下がっています。

アルコールにも注意!

アルコールは糖と直接大きく関わるわけではありません。
しかし、アルコールは食事代謝の分解を止めてしまい、しかもその後急激に血糖値を上げるということが分かっています。
例えば、夕食と一緒にアルコールを摂ったとします。
体内にアルコールが入ると、肝臓は急いでアルコールを分解します。
なぜなら体にとってアルコールは毒である為、早く分解して無毒にする必要があるからです。
その時夕食で食べた物の分解や代謝はストップします。
そしてアルコールの分解が終わった後、そこから食べ物の分解と代謝が始まります。
この時、ジェットコースターのように急激に血糖値が上がるのです。
飲み会の日の夜中に、急に目が覚めた経験はありませんか?あれが血糖値が急激に上がった瞬間で覚醒しているのです。
アルコールは少量であればストレス発散などに役立ちますが、量を摂りすぎると急激に血糖値を上げ体脂肪を増やす要因になります。
気を付けて付き合いましょう。
ちなみに最近流行っている糖質オフのアルコールなどでも、アルコールがオフになっているわけではありませんので、肝臓での分解過程は同じです。
糖質オフだからと大量に飲まないように注意してくださいね。

まとめ

糖質オフやロカボはダイエットとして注目されています。
確かに糖質をオフにしたり少なくすることで、一見痩せたように感じるかもしれませんが、それは体脂肪だけではなく筋肉なども落ちてしまっていて、太りやすく痩せにくい体を作ってしまいます。
糖質オフとロカボについては、糖尿病治療として始まったと言われていましたが、糖尿病学会は推奨しないと明言しています。
それは体にとってリスクがあるからです。
またその食生活で得たダイエットの結果はその食生活あってのものなので、それをずっと続けなければその効果は無くなります。
ずっと糖質をオフや少なくすることは難しいですよね。
大切なことは、糖質のコントロールです。
体に必要な糖質は必要な量をきちんと摂って、体脂肪の原因となる不要な砂糖などの糖をなるべくカットしましょう。
これにより、美味しく食事をしながらダイエットをすることが可能です。
無理なダイエットではなく、健康的な美味しく糖質を摂るダイエットをしてみましょう!

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