「前腕筋」という筋肉をご存知でしょうか?腹筋や背筋と比べると決してメジャーな筋肉ではありませんが、実は前腕筋のトレーニングにはさまざまなメリットがあるのです。そこで今回は前腕筋を鍛えるメリットを解説するとともに、前腕筋の効率的なトレーニング方法をご紹介します。ダンベルを使った基本のトレーニングから道具のいらない手軽なトレーニングまで幅広くご紹介するので、前腕筋を鍛えたい方は要チェックです。
そもそも前腕筋とは?

前腕筋はメジャーな筋肉の1つではありますが、どの部分が前腕筋なのかいまいち分からない方も多いのではないでしょうか?実は、前腕筋は複数の筋肉が集まった筋肉群を表す名称なのです。
前腕筋の場所と働き
前腕筋とは、手首から肘のあたりまでにある「腕橈骨筋」「回外筋」「浅指屈筋」の3つの筋肉が集まった筋肉群の総称です。3種類の筋肉にはそれぞれ別の役割がありますが、主に手を開いたり閉じたり、肘関節を曲げ伸ばしする時に働いています。もっと実感しやすいシチュエーションをあげると、物を投げる時や握る時、さらには指を動かしたり手首を曲げる時に働いているのが前腕筋です。前腕筋群の1つ1つはまったく別の筋肉ですが、基本的には同じトレーニングで鍛えることができます。
前腕筋を鍛える4つのメリット
前腕筋は地味な筋肉と思われがちですが、しっかりと鍛え上げれば実にさまざまなメリットを獲得できます。つづいては前腕筋を鍛えることによる4つのメリットについてお話していきましょう。
たくましい印象の腕をつくれる
前腕筋を鍛えると肘から手首にかけての前腕が引き締まり、たくましく力強い印象を与えることができます。腕の筋トレというと上腕二頭筋をはじめとした上腕のトレーニングがメジャーですが、普段は洋服に隠れてしまうので、せっかく鍛えてもなかなかお披露目する機会がないものです。一方、前腕は半袖はもちろん長袖シャツを腕まくりした時にもさりげなく見せることができるので、鍛えていることをアピールしたい方にはもってこい!分かりやすく腕のビジュアルが変化するので、洋服をかっこよく着こなしたい方からも人気があります。
握力が強くなる
前腕筋は物を握ったり指を動かす動作をサポートする筋肉なので、日頃からトレーニングしているとだんだんと握力が向上していきます。大人になると握力を計測する機会もほとんどなくなりますが、学生時代握力が弱いことにコンプレックスを抱えていた方は、ぜひこの機会に前腕筋のトレーニングに挑戦してみましょう!また、握力が向上することで日常生活の不便が軽減されたり、トレーニングやスポーツを今よりもっと楽しめるようにもなります。
負荷が高いトレーニングにもチャレンジできる
「トレーニングに握力はそれほど関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、ダンベルやバーベルなどの器具を使うトレーニングでは前腕筋の発達具合が非常に重要です。こうした”手で握る”タイプの器具を使う場合、握力や手首の力が十分でないと正しいフォームを維持できずトレーニング効果が半減してしまいます。特に、高負荷のトレーニングではケガの原因にもなりかねません。前腕筋をしっかりと鍛えておけば、そういった高負荷のトレーニングにも無理なく挑戦でき、筋肉をより一層鍛え上げることができます。
スポーツのパフォーマンスが向上する
前腕筋の強さはスポーツのパフォーマンスにも関係してきます。たとえばテニスのラケットを握ったり、野球のボールを握りこんだり…。こうしたいかにも握力が関係してきそうなスポーツはもちろんのこと、意外なところではバレーボールのスナップする力やボールを打ち出す力にも影響があります。こういったスポーツに取り組んでいる方は、ぜひ日々のトレーニングに前腕筋の筋トレメニューをプラスしてみてください。今まで以上にパフォーマンスが上がり、スポーツをより一層楽しめるようになりますよ。
腰痛の予防になる
私たちが重い荷物を運ぶ時、前腕の力が足りないと自然と腰の力を頼ることになります。すると腰に負担がかかわり、腰痛やぎっくり腰の原因になってしまうのです。腰と前腕は一見かけ離れた場所にありますが、日常的に重い荷物を運ぶ方はぜひ前腕筋のトレーニングを取り入れてみてください。きっと今よりも物を運ぶのが楽になり、腰への負担が軽減されるはずです。
前腕筋を鍛えるのに効果的なダンベルトレーニング

ここからは前腕筋を鍛えるのに効果的なトレーニング方法をご紹介します。まずはダンベルを使ったトレーニング方法です。
最適なダンベルの重量は人それぞれ異なりますが、少し軽いかな?と感じるくらいの方が正しいフォームを維持しながら回数をこなせます。
リストカール
リストカールは前腕筋全体に効果があるトレーニング方法です。握力も効率よく鍛えられるので、ぜひトライしてみてください。
1.ダンベルを軽く握り、前腕部分を太ももにぴったりとつける
2.腕を太ももから離さないように注意しながら、ダンベルを手首だけで巻き上げる
3.ゆっくりと元の位置に戻す
4.2~3の動作を15回程度繰り返す
5.インターバルを挟みながら、合計3セット繰り返す
6.逆側の腕でも同様の動作を行う
スピネーション
スピネーションは手首を鍛えることのできるトレーニング方法です。手首を鍛えるとスポーツのパフォーマンスが向上し、握力の伸び率にも影響してきます。ケガのリスクを極力軽減させるために、必ず手首にテーピングを巻いてからトレーニングしましょう。
1.ダンベルをしっかりと握り、前腕部分を太ももにぴったりとつける
2.手首を回転させながら、ダンベルが垂直になるように持ち上げる
3.ダンベルが垂直になるまで回転したら、ゆっくりと元の位置に戻す
4.2~3を自分が限界だと感じる回数繰り返す
5.インターバルを挟みながら、合計3セット繰り返す
6.逆側の腕でも同様の動作を行う
ラジアルフレクション
ラジアルフレクションは、手首の力だけでダンベルを上げ下げするシンプルなトレーニングです。肩を上げ過ぎないよう注意すると前腕へしっかりと負荷がかかり、血管が浮き出たかっこいい腕を目指せます。
1.両手にダンベルを持った状態でまっすぐに立つ
2.肘を伸ばした状態で、手首の力だけでゆっくりとダンベルを持ち上げる
3.ダンベルを上げきったらゆっくりと元の位置に戻す
4.2~3の動作を20回程度繰り返す
5.インターバルを挟みながら、合計3セット繰り返す
ダンベルがなくても大丈夫!身近な物でできる前腕筋トレーニング

つづいては家にダンベルがない方におすすめ!身近な物で行える前腕筋トレーニングをご紹介します。
タオルを使ったトレーニング
どの家にもあるフェイスタオルや雑巾を使ったトレーニングです。朝顔を洗う時に、お風呂上りに、日常生活の中で手軽に取り組めます。
1.タオルまたは雑巾を濡らす
2.両手を使ってぎりぎりまで絞る。この時、手首をひねり過ぎないことと、胸の方に引き付け過ぎないことに注意する
3.握力の限界がくるまで絞る
4.インターバルを挟み、逆手でも同じ動作を行う
5.合計4セット繰り返す
リストバンドを使ったトレーニング
リストバンドを使った握力強化トレーニング。タオル地のリストバンドではなく、細目のゴム製リストバンドを用意しましょう。
1.リストバンドをすべての指に通す
2.5本の指を思い切り広げて、リストバンドを限界まで伸ばす
3.限界がきたら元に戻す
4.2~3を限界まで繰り返す
5.インターバルを挟みながら、合計3セット繰り返す
本を使ったトレーニング
捨てる予定の本を使って、いつでも手軽に行えるトレーニングです。安定感を増すために、できるだけ同じ大きさの本を揃えましょう。また、雑誌や地図などの大判の本よりも、マンガや文庫本など小さめサイズの本がおすすめです。
1.親指と他の4本指で挟める程度まで本を重ねる
2.重ねた本を親指と他の4本指で挟み、前腕筋を意識しながら持ち上げる
3.限界までその状態をキープする
4.インターバルを挟みながら、合計3セット繰り返す
道具なしで気軽にできる前腕筋トレーニング

道具を一切使わないトレーニング方法なら、自宅でも旅行先でも気軽に前腕筋を鍛えられますよ♪思い立ったらすぐにでも行えるトレーニング方法ばかりなので、ぜひチャレンジしてみてください。
グーパー法
手を握って・開いてを繰り返すトレーニング方法。一見単純な動作ですが、回数を重ねると前腕筋に大きな負荷をかけることができます!男性であれば1日500回以上を目標にすると良いですが、回数やセット数は自分のレベルに合わせて調節しましょう。
1.両手をまっすぐに伸ばし、前腕筋を意識しながらぐっと閉じる
2.パッと手を開く
3.1~2の動作を100回程度繰り返す
4.インターバルを挟みながら、合計3セット繰り返す
指ハイタッチ
指先と指先を合わせるトレーニング方法。物を挟んでつまむ、ピンチ力を鍛えることができます。
1.手を開き、親指と人差し指の指先をくっつける
2.指を離し、また手を開く
3.中指、薬指、小指と順番に親指とくっつける
4.小指まで終えたら、今度は薬指、中指、人差し指と順番に戻っていく
5.この動作を5~10分程度続ける
6.インターバルを挟みながら、合計3セット繰り返す
シャドウボクシング
対戦相手を想像しながらパンチを打つシャドウボクシングは、前腕筋を鍛えるとともにストレス解消効果も期待できます。
ボクサー気分を楽しみながら、左ジャブと右ストレートを繰り出しましょう。
1.ボクシングの基本の構えをとる。足を肩幅程度に開いたら、右足を40cm程度下げて両足を右45度に傾ける。右足のかかとを浮かして少しだけ膝を曲げ、重心を安定させる
2.右の拳はあごの横に、ひじは腹の横につける
3.左ひじは90度に曲げ、拳を目の高さまで上げる
4.はじめは左ジャブから。左腕をまっすぐに伸ばす。この時、肩はあごの横につくイメージで
5.腰を時計回りに少し回転させながらジャブを打つ。この時、腕を伸ばし切る寸前に拳を内側へ回転させる
6.つづいて右ストレート。右腕をまっすぐに伸ばす
7.ストレートを打つのと同時に、腰を反時計回りに少し回転させる
8.左の拳をあごの横につける
9.右足のつま先を軸にしてかかとを外側へ回転させ、右こぶしを内側へ回転させる
まとめ

前腕筋はあまり目立たない筋肉ですが、しっかり鍛えておけばたくましい腕が手に入るだけでなく、トレーニングやスポーツのパフォーマンスまで向上します。道具のいらないお手軽なトレーニング方法もあるので、ぜひ気軽にチャレンジしてみてくださいね。
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